Sicilia 2008

旅日記 8日目(2008/01/03)-03

...

駅から遺跡群まではバスで移動するらしい。
夫が、「バスのチケットを買っておきたいんだけど、駅で売っているらしいんだよねー」と、ネットで仕入れた情報を披露し、「まさか鉄道のチケット売り場で売っているってことはないだろうから、あそこのバールかなぁ?」なんていう話を立ち止まってしていた。

そんな様子を見ていたのか、その場に居合わせたお

じさんが、『遺跡に行くの?』というようなことをイタリア語で話しかけてきたので、「シ」と答えると、遺跡への行き方を身振り手振りを交えて説明をしてくれたのだけれど、イタリア語だったので、全く分らなかった。
でも、せっかく親切に教えてくれたので、とりあえず『ジャパニーズスマイル』を浮かべつつ、お礼を伝えておいた。

このおじさん、私達と同じ列車でアグリジェントに到着し、ホームから階段を上がる際、私達の目の前にいたおじさんだった。その時も、外国人旅行者に何かを教えてあげながら歩いていて、少し前にハグをして別れていた。

なんか親切そうな人だし、せっかく声をかけてきてくれたし…と、「ブス、 ビレット、バール?」と単語を羅列し、目の前にあるバールを指差して聞いてみると、おじさんは、わざわざバールの店員さんに確認してくれて、『ここでいいんだよ』と教えてくれた。

それなので、再度おじさんにお礼の言葉を伝え、おじさんと握手して別れて(さすがにハグはしなかった)、バールに入って、バスのチケットを往復分購入した。

アグリジェントでは、駅の上に広がる『中世・近代地区』と呼ばれるところと、駅から下っていく『考古学地区(神殿の谷)』と呼ばれる二つの地域に見所が分かれているため、午前と午後に分け、それぞれの地域を見る予定だと夫が言った。

...
私は『アグリジェント=遺跡』で、遺跡しかない街なのかと思っていたのだけれど、『中世・近代地区』の旧市街もなかなか美しい街並みなのだそうだ。

この日もまた、今にも雨が降りそうなお天気で、朝、テレビで見たアグリジェント方面の天気予報は、この旅行中の定番の『晴れ+曇り+雨』というものだった。
夫は「遺跡で雨に降られたら嫌だから、午前と午後、どちらに行くかは究極の選択だなー」と迷っていたのだけれど、結局、先に旧市街を見て、昼食をとってから遺跡に行くことになった。

アグリジェントの駅前広場は大工事中だった。
旧市街へ上がって行く前に、駅からちょっと下った所にあるという教会を見たいと夫が言うので、坂を下っていくと、先程駅で道を教えてくれたおじさんが、駅前で交通整理をしていたおまわりさんを話し込んでいるところに遭遇し、『バスは、そっちじゃなくて、あっちだよ』と、声をかけてきてくれた。おじさんは、イタリア語オンリーなので、私達も日本語オンリーで「遺跡の前に、あっちを見る予定なので大丈夫。バス停の場所は分りましたよ。」と答えてみると、通じたのか、おじさんも納得顔をしていた。

アグリジェント中央駅

しかし、坂を下ってみても、その『教会』を発見できなかった。
「さっき駅でもらった地図で確認すればいいじゃん」と言ったのだけれど、その教会の名前も覚えていないし、地図でどの位置になるのかも分らないのだそうだ。
「じゃあフツーに考えて無理でしょー」と冷ややかな視線を送ってみると、さすがに諦めたと言い、また坂を上がって駅方面へと戻った。

するとまた、駅前でおじさんに会ってしまった。
さっき「下に用があるんだ」的なことを言って向かったのに(通じてなかったかもしれないけど)、すぐに戻ってきてしまって、いかにも道に迷っている風で、ちょっと恥ずかしかった。(ま、本当に迷ったのだけれど。)
おじさんに、再度、日本語で「今度は旧市街を見に行きますー」と駅の上のほうを指差しながら報告(?)すると、今度はおまわりさんと一緒になって、『そこは横断できないから、こっちを廻っておいで』なんていう風に誘導してくれた。
なんだかちょっぴり気恥ずかしかったけれど、本当に、世話好きな親切なおじさんだった。

→次は旧市街をぐるぐる


<< 旅日記8日目-02 □ 目次に戻る □ 旅日記8日目-04>>