France 2008

旅日記 4日目(2008/04/29)-03

... この後は、教皇庁に次ぐ有名な観光名所『サン・ベネゼ橋』へと向かうことにした。
この橋に行くには、時計台広場から、また教皇庁前広場へと戻ることになる。
文章にしてみると、行ったり来たりで無駄な動線といった感じなのだけれど、小さな町なので、苦にはならなかったし、天気も良かったので、のんびり歩けて楽しかった。(と、夫の粗いプランをフォローしてみる。)
.
教皇庁の隣には、中央に鐘楼がある『ノートルダム・デ・ドン大聖堂』が建っている。
この大聖堂は、12世紀に建てられたロマネスク様式の建物なのだけれど、その後、何度も改築されているのだそうだ。
この時は、ミサの真っ最中だったので、入口から覗くだけにしておいたのだけれど、この大聖堂の後陣には、教皇庁の創建者である教皇の墓碑があり、礼拝堂のひとつには、別の教皇の墓碑もあるのだそうだ。

この大聖堂の前を通り抜け、階段や坂を上がっていくと、ロッシェ・デ・ドンという公園に入る。
『ドン』というのは岩壁の名前で、この岩壁は城壁の一部になっている。

...

大聖堂前の彫刻と
大聖堂の鐘楼

この岩壁の上にあるのが、ロッシェ・デ・ドン公園になるのだけれど、ここは高台になるため、サン・ベネゼ橋や対岸にあるフィリップ美男王の塔も見渡すことが出来る。

ロッシェ・デ・ドン公園から下っていくと、城壁に設けられた塔に入ることが出来る。
その塔の中を通り抜けて、ローヌ川沿いの道へ降りた。

ロッシェ・デ・ドン公園から見たサン・ベネゼ橋
右上に小さく写っている四角い塔が、フィリップ美男王の塔

川沿いは、車道の他、緑地帯を挟んで遊歩道が整備されていた。
夫は、さらに、その遊歩道の先の小さな土手のような所を下りて写真を撮ろうとしたのだけれど、川岸の草が昨夜の雨で濡れていたため、足を滑らせて尻餅をついて滑り落ちていった。
一瞬、見ていた私もヒヤッとしたけれど、とりあえず、すぐに立ち上がって歩いていたし、ズボンも汚れていなかったので、「そのまま滑り落ちて川まで落っこちなかっただけ良かったね」と慰めておいた。(で、夫が切り株に座って「足の筋がジンジンする」と涙目になって足をさすっている証拠写真を撮るのも忘れなかった。)

...
左:城壁に設けられた塔
アヴィニヨンの城壁は全長約4km
14世紀中頃から15世紀後半にかけて建造

右:滑り落ちた土手から撮った写真
尻餅をついてまで撮るアングルではなかった(?)

この後は、橋の表側へ廻った。
橋に表も裏もなさそうなのだけれど、この橋には橋桁に造られた礼拝堂があって、城壁にある塔を下りた所からだと、礼拝堂の裏側を見るような形になるのだ。
礼拝堂を正面から見る側に移動した後、夫は、足の筋がまだジンジンするらしく、「橋のスケッチをする」という口実で(?)、少し座って休憩することにした。

サン・ベネゼ橋

この橋には実在の人物、聖ベネゼに関する伝説が残っている。

生まれ故郷の村で羊飼いをした、少年時代の聖ベネゼは、ある日『アヴィニヨンへ行って、ローヌ川に橋を架けよ』という天の声を聞き、一人アヴィニヨンへ向かい、30人もの男性が集まっても持ち上げられない岩を一人で川岸まで運び、「橋の土台の最初の石だ」と言って置いた。
そして、それに感動した群集が橋の建設費用の募金を始めたと言われている。

橋は、1177年に着工し、8年後に完成。
その当時は、ローヌ川の両岸を結び、フィリップ美男王の塔まで続く、全長900mもの橋だった。
その後何度も、ローヌ川の氾濫や戦闘で倒壊してしまい、その都度再建されていたのだけれど、17世紀後半には、再建が打ち切られてしまい、現在は、4つのアーチと2番目の橋桁の上にある小礼拝堂(サン・ニjコラ礼拝堂)のみが残っている。

聖ベネゼの遺品は、この礼拝堂に納められていたのだけれど、この礼拝堂もいつ流されてもおかしくないということで、17世紀前半に別の教会に移されている。

その後、車道を一旦横断して城壁側に戻って、橋の上を歩いた。
この橋の上を歩くには、入場料が必要なのだけれど、教皇庁と同じく、追加料金なしで、日本語のオーディオガイドを借りることが出来る。

フランス民謡に、『アヴィニヨンの橋の上で』という曲があり、一度はみな聞いたことがあるくらい有名な曲なのだけれど(MIDIを聞く場合はこちらをクリック)、そのアヴィニヨンの橋というのが、このサン・ベネゼ橋のことなのだそうだ。
ただ、この曲の歌詞に「橋の上で踊ろうよ」という部分があるのだけれど、これは『橋の下で踊る』だったものが伝わっていくうちに『上で踊る』になっていったのだという説があるらしい。

...
左:橋の先端
この先は流されてしまったままで、今は対岸へ渡ることは出来ない
右:橋の上から教皇庁方面を見渡す
確かに踊れるほど広い橋ではないかも・・・

『アヴィニヨンの橋の上で』が流れるオーディオガイドを聞きながら、のんびりと橋の上を歩いた後、街中に戻って昼食にすることにした。

→ 次は、昼食


<<旅日記4日目-02 □ 目次に戻る □ 旅日記4日目-04>>