France 2008

旅日記 7日目(2008/05/02)-06

... 渡り廊下からは、中庭の緑や斜面に林立しているピロティの柱を見ることが出来る。

渡り廊下の窓は、修道士の個室などプライベートな部分の横連窓とは違って、床から天井まで大きく開けられた窓になっていて、とても印象的な窓枠で造られていて、廊下に美しい影を落としている。

窓枠の割付もモデュロールによって設計されているそうなのだけれど、これを担当した人は、後に音楽家としても有名になる人なのだそうだ。
本には、『建築も音楽も美しい比例のリズムが作り出す』と書かれていたけれど、確かにこの傾斜のある渡り廊下は、光と影で醸し出すリズミカルな空間になってい

て、隣の棟へ移動するためだけだった場所を、とてもドラマティックに演出している。

礼拝堂の扉は閉ざされていたので、とても大きな重い扉を自分で開けて中へと進む。
(後から入ってきた人は、この大きな扉に組み込まれた小さな扉から入ってきていた。きっとこれが正解で、私達はハズレなんだと思う。)

礼拝堂はコンクリートの壁に囲まれていて、明るい渡り廊下から入ったため、一段と薄暗く感じた。そこに、いくつものトップライトやスリット状の開口が開けられ、その開口の壁面が原色に塗られているため、そこから差し込む光が本当に幻想的だった。
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左中:円形のトップライトを見上げる
左下:スリット状の窓
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礼拝堂を見学している間、「トップライトを見た感じが、有名なアングルとは違う気がするけど、こんなんだったっけ?」なんて話していた。
でも、とりあえず、この礼拝堂はじっくり満喫できたので、次の場所へ移動するために礼拝堂を出ると、ちょうど私達の前に礼拝堂から出ていった西洋人のカップルが、すぐ近くの扉に入っていくところが見えたので、私達も続いてそこを見学することにした。

この扉の中は、暗い階段になっていて、そこを下って壁を廻りこむと、礼拝堂を見学している間に話していた『有名なアングル』の場所になっていた。
私達は、西洋人のカップルが入っていくのを見なかったら、そこに入ることが出来る扉があることに気付いていなかったので、「危うく見逃すところだったね」と、その人達に感謝し、じっくりと見学させてもらうことにした。

私達が、まだ写真を撮っている最中に、その西洋人のカップルはここから出ようとし、私達に「鍵は持っているの?」と尋ねてきた。なんのことだろう?と思いつつも、「持ってますよ」と、最初の受付でもらった鍵を見せると、納得したような顔をし、そのカップルは先にこの部屋を出ていった。

カップルが出ていって少し経った後、私達もこの小礼拝堂を出て、「あの人達が鍵を持っている?と聞いてきたということは、部屋を出る時に鍵をかけないといけないということだよね」と扉の鍵穴に、私達の持っていた鍵を差し込もうとしたのだけれど、明らかに鍵の形状が異なっているらしく、鍵穴に鍵が入らなかった。

最初は、その理由が分からなかったのだけれど、ふと扉の横を見ると、張り紙が出ていて、そこには、この小礼拝堂は鍵がかかっているので、ガイドツアーなどでないと見学が出来ないというようなことが書かれていた。
それを見てやっと、自分達が、本来なら見学出来ない部屋に入ってしまったのだということに気がついた。入る時には、「あんな所に見学できる場所があったんだー」と浮かれて入ってしまったので、張り紙には全く気がつかなかったのだ。
(今、これを書いている時に知ったのだけれど、最初にもらった地図にちゃんと、ここはガイドツアーでしか入ることが出来ないと明記してあった。)

夫は、それじゃあしょうがない、と全く気にする風ではなかったのだけれど、私は鍵が閉められないなんて、何か起こってしまったらどうしよう・・・とすごく不安だった。
でも夫は、「ここで待っていなくても、もうガイドツアーが始まっている時間だから、その人達が来たら、どうせここを見学するんだから大丈夫だ」と言うので、私も渋々だけれど、この扉の前を立ち去ることに同意した。

故意にした訳ではないのだけれど、なんとなく気が晴れないまま、渡り廊下を渡って最初に見学していた建物のほうに戻ると、ちょうどガイドツアーの一団に遭遇したので、「今からツアーの人達が礼拝堂に行くんだから、もう大丈夫でしょ?」と夫にも言われ、私も少しだけ気分が軽くなったので、そのままもう少しこの建物を見学することにした。

→ 次も、もう少し修道院を見学


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