Sicilia 2008

旅日記 3日目(2007/12/29)-05

... シラクーサのギリシア劇場は、現存している古代劇場の中でも特に規模の大きいものなのだそうだ。

紀元前5世紀に建造され、その後紀元前3世紀に原型を残しつつ改築が行なわれているものらしい。
そしてまたタオルミーナのギリシア劇場と同じ様に、ローマ時代に入って、闘技場などとして使うのにふさわしくなるよう手が加えられているのだそうだ。

.
歴史上、そういったところまで全く同じ流れになっているのだけれど、この後16世紀頃、シラクーサのギリシア劇場は、オルティジア島の要塞建設のため、建材が持ち去られてしまい、客席上部はごっそりとなくなってしまっている。このため、客席上部の柱廊の一部が残るタオルミーナのギリシア劇場と比べると、廃墟といった印象が強くなってしまう。
.
...

客席上部から劇場を見下ろす

客席下部と舞台の一部

しかし、石灰岩の地面を直接削って作られている客席に座ると、遠くに海が見えていて本当に気持ちが良い場所だった。
実際、ここでは2年に一度、古代劇が上演されているのだそうだ。こういう場所で見る劇というのは、閉じられた空間である今の劇場とは異なる魅力があるのだろう。
しばし、客席に腰掛け、こんな話を聞きながら往時に思いを馳せてみた。(←これは夫の「古代の遺跡は、しばしその空間に身を置いてこそ良さが分る」との説による。)

その後、同じ敷地内にある天国の石切り場へと移動する。
シラクーサのこの地帯は、ギリシア劇場を見て分るように、そのほとんどが石灰質の岩盤で出来ている、多くの石切り場が残っていて、このギリシア劇場に隣接してある石切り場のことを、画家のカラヴァッジョが『天国の石切り場』と呼んだのだそうだ。

シュロの木など南国の木々や、レモンやオレンジの木が生い茂る中を進んで行くと、ディオニュシオスの耳と呼ばれる洞窟の前に出た。
この洞窟は、細長い耳の形をした洞窟で、内部の音の響きがとてもよく、洞窟の中で小声で話しても、その声は外まで届いてしまうのだとか。

... ...

ディオニュシオスの耳

中から入口をみる

入口で見上げてみる

実際に中に入ってみると、確かによく声が響くな…という程度で、普通の洞窟と大差はなさそうな感じだったのだけれど、洞窟から出て外に立っていても、中にいた人達の声が、中で聞いていたよりも大きいのでは?と思う程の音量で聞こえてきていた。
このため、政敵をここに監禁し、内輪話を外で盗み聞きをしたシラクーサの王がいたという言い伝えがあるらしい。

この後は、一旦門を出て、お土産物屋さんが並ぶ通りに戻り、タクシーを降りた大通りに近いほうにあるの門から、石切り場の向かい側にある円形闘技場へと入った。
特に目立つ案内がなかったのだけれど、門のところにそれらしき人が立っていたので、その人にチケットを見せると、良し!といった感じで頷いていた。

...

ローマ円形闘技場

ローマ円形闘技場は、ギリシア劇場とは違って、客席に降りることは出来ず、上から眺めるだけだった。ここは、B.C.1世紀頃の建造で、岩山をくり貫いて造られている。
剣奴の戦いなどが行なわれた闘技場で、正円ではなく楕円形をしていた。

この後は、この考古学公園の近くにある礼拝堂などを見に行くことにした。

→ 次は、考古学地区をぶらぶら


<< 旅日記3日目-04 □ 目次に戻る □ 旅日記3日目-06>>