Sicilia 2008

旅日記 5日目(2007/12/31)-06

... お店には看板はなかったけれど、通りに面した所にたくさんの魚介類が並べられていて、そのすぐ後ろで魚を調理していたので、辛うじて食堂なんだろうなと分るようなお店だった。
入る前にもう一度しっかり覗いてみると、魚の奥には前菜がいくつも並べられていて、なかなか雰囲気は良かった。
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魚の横には、テーブルが3つくらいあるだけだったので、小さなお店なんだな…と思って中に入ったのだけれど、魚などが並べられた台とテーブルの間を進むと、奥にまぁまぁ広いスペースがあって、それなりに席数があった。

席に着くと、店主らしき人がきて、注文をメモする紙を手にニコニコして私達の横に立った。
あれ?メニューは?と『?マーク』を浮かべつつ、店主の顔を見ると、「何でも作りますよ〜(←イタリア語だったので推測)、ボンゴレ?ポモドーロ?…」と言っていた。

何でも作るって言われても、それはそれで困るな…と思いつつも、わずかに知っている単語を駆使し(←駆使というか単語の羅列?)、「アンチョビのパスタ?」と聞くと、「スィ、スィ」という答えが返ってきたので、オイルだけのパスタがいいと思って「アンチョビ・ビアンコ?」と聞くと、「ロッソ」しかないよ、という答えが返ってきた。
おーおーなんだかイタリア語が通じているではないですか!と思いつつ、さらにメカジキのパスタを頼み、あとは前菜のブッフェにすると伝え、飲み物で、白ワインのカラフェと水を注文した後、さっそく入口近くにあった前菜のお皿へ向かった。

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 左 : 前菜のブッフェの種類は多かったです。
 中 : ゴマをふったパンが1本そのままの状態で出てきます。
        (既に半分に切ってしまった写真しかありませんが…。)
 右 : ワイングラスはテーブルに置いてあるプラスティックの使い捨てのものです。

その後、パスタが運ばれてきた。
もう少し盛り付けをがんばったほうがおいしく見えるだろうに…という豪快な盛り方で、写真でみると、あちゃーって感じなのだけれど、味のほうは、家庭料理的だったけれど、それなりにおいしかった。
ただ、アンチョビのパスタのつもりで頼んだものは、おいしかったけれどアンチョビの味はほとんどしなかったので、『アンチューガ』って頼んだつもりだったのだけれど、通じなくて違うものだったのかなぁ…と思いつつ食べていた。

その間、私達の後ろの席に来た西洋人のカップルが、注文する際、『何でもどうぞ』な注文の仕方に戸惑っていて、店主が「ボンゴレとか…」などと説明していた。
そのお客さんは、アンチューガのパスタ(のつもりで頼んだもの)に興味を示して、それってどんなもの?と聞いたらしく、店主が、「あの人が食べているのがそうだ」と言って、私のことを指し示し(夫とシェアして食べていたのだけれど、ちょうど私がそのパスタを食べた瞬間だった…)、カップルの女性が私に向かって、「おいしい?」と聞いてきた。

仮に不味くとも、その質問に対し、この場で「不味いです」とは答えられないだろう…と思ったけど、不味い訳ではないので、「おいしいです」と答えておいた。
でも、私の注文ミスではなく、これが本当にアンチューガ(アンチョビ)のパスタだったとしたら、アンチョビの味がしないので、カップルは「あの人、おいしいって言っていたけど、ちょっと物足りないわ」と思われてしまったかもしれない。
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お料理は立体的に盛りましょう
お皿の縁にこぼしてしまったら拭きましょう
…というこだわりはないようです

お店に入った時、隣のテーブルに座っていたイギリス人のご夫婦と少しだけおしゃべりをしたのだけれど、その人達が食べていた魚介のフリットがおいしそうだったので、夫が『指差し』で追加注文した。それと同時に、だんだん気分が乗ってきたっようで、ワインも足りなくなり、カラフェをもう一度追加注文した。

フリットは、新鮮で、揚げ方もカリッとしていて、塩加減もよくておいしかった。
ひと手間ふた手間かけた料理ではなく、シンプルなものだけれど、シンプルな調理で充分という素材なのだろう。

食後は、コーヒーを注文した。
私はいつも、ミルクが入っているものを頼むのだけれど、エスプレッソしかないということだったので、エスプレッソを注文したら、このお店ももちろん器は、プラスティックのカップだった。(ワインのものより小さいタイプ。)
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このお店は、偶然前を通りかかって、強く惹かれた訳でもなく入ったお店だったのだけれど、なかなかおいしいお店で、雰囲気もよく大満足だった。
隣の席の人が言うには、地元の人の間でも、『隠れた名店』として有名なお店なのだそうだ。これについては、いかにも食堂っぽい料理なので、『名店とはかくあるべき』というのがある人からみたら、反論が出てきそうだけれど、私の食堂とはかくあるべきという基準、『安くてうまくて、ゴチャゴチャしてる』にはぴったりマッチしていた。
それに確かに人気のあるお店には間違いなく、とても混んでいたし、隣の建物の1階も、このお店の客席として利用しているようだった。
ちなみに、看板がないので、『隠れた』はピッタリ当てはまっているかも。
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■ お店について
看板、レシートなどなかったため、店名が分りません。

ローマ通りからヴッチリア市場へ入る道のうち、階段になっている所を降りてすぐの広場から、海側へ入る真ん中の道を進みます。
少し進むと、小さな広場があるので、そこを突っ切って、また海のほうへと進んだ左手にあるお店です。
後で地図を見ましたが、V Cassariという通り沿いだと思います。

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↑お店の前にもテーブル

 

↑通りから見たお店の雰囲気

この写真では分りにくいのですが、
敷き詰められた氷の上に魚がずら〜っと並んでいるので、
すぐに分ると思います。

前菜のブッフェ、パスタ2品、魚介のフリット、ワインのカラフェを2本(単位は杯でしょうか?)、水、エスプレッソ2杯を頼んで35ユーロでした。

→次は、街をぐるぐる


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