Spain+Tangier 2012旅日記 3日目(2011/12/25)-02メインビルディングからフェリーに乗るためのボーディングブリッジがつながっている通路へ向かったのだけれど、ブリッジの手前にいた係の人にチケットを見せたら「これはボーディングパスではなくて予約券だから、ここで待つように」と言われてしまった。 その係の人に自分で引き換えにメインビルディングに戻ったほうがいいのか?と聞いても、係のおじさんはアミーゴと愉快に携帯電話でおしゃべり中で「そこで待て」というジェスチャーをするのみだった。 他の乗客はちゃんとボーディングパスを持っていたようで、アミーゴと電話中のおじさんがチケットを確認して次々と乗船していく。
最初この通路で待たされていたのは私たちだけだったので置いていかれるのでは?と不安になっていたのだけれど、出航5分前くらいに駆け込んできた10人くらいが、まだまだアミーゴと電話中のおじさんのジェスチャー「そこで待て」で足止めをくらったので少しだけ心強くなっていた。
しかし、いよいよ出航の17時ジャストになってしまった。
船の中を進んでいくと、廊下に人がいっぱいあふれている所に出た。 夫がネットで得ていた情報では、いざ出航して入国審査が始まってから並ぼうとすると既にものすごい行列ができてしまっていて、タンジェに着くまでに入国審査が受けられず、まぁどうにかなるだろうなんて軽い気持ちで下船すると不法入国になってしまい面倒なことになるらしい。 その後1時間経っても出航する気配がなかった。 あちらこちらで「俺が先だ!」「いや私だ!」といった感じの口喧嘩が勃発していたのだけれど、そんな喧噪の中でも敬虔なムスリムの方は甲板に出て絨毯を敷いてお祈りをしていた。
結局乗船してから1時間半くらい経った頃やっと船が動きだし、その後みんなが待ちわびていた入管の人がジーンズにセーターといった軽装で登場した。 ここからはあちらこちらで「こっちが先に並んでるんだ!」「横入りするな!」といった感じで先程より激しく、よく乱闘が起こらないなという程の口喧嘩が勃発。 私たちはあまりの凄さに驚いて笑ってしまっていたのだけれど、入管の人を待っている間に「どこから来たのか?」とか「モロッコは初めて?」などと時々話しかけてくれていた前のほうにいたおじさんが「あなたたちはアラビア語が話せないんだから助けてあげる、ここに入りなさい」と後ろにいた私たちを自分の前に入れてくれて、後ろからグイグイ押して窓口に突き進んでくれた。 そしてそのおじさんは、私の前にいた男の人に向かって「おい!あんたがどんどん突き進んで行って、あんたの入国審査が終わったら、そのまま続けてこの日本人のパスポートを窓口に出すんだ」というような指示を出していた。(アラビア語だったので推測ですが。)
いよいよ窓口に近づくと、数十年前のオイルショックの頃のニュース映像の『トイレットペーパーにむらがる人々』よりすごい迫力で、窓口に向かって四方八方からパスポートを持った手が伸びてきていた。
その間もずっと廻りの口喧嘩や怒鳴り声は絶えていなかったけれど、入管の人は多くの欧州の入管の人並みの笑顔で「ジャポン?コンニチワァ」と日本語で挨拶してくれた。そして慣れた手つきで入国カードをチェックしコンピューターに入力し、パスポートの写真と私の顔を見比べ無事入国スタンプを押してくれた。
夫の手続きの最中おじさんによ〜くお礼を言い、審査が終わった夫と二人、窓口に向かう人々にモミクチャにされながらその人だかりを抜け、なんとか無事に客室へ行くことが出来た。
(おじさんはちゃんと夫の次にパスポートを渡すことに成功していた。)
あの喧噪の中、入国審査が始まって1時間ちょっとでスタンプをゲットできたなんてなかなか上出来だ。
乗船してから4時間半くらい(出航してからは3時間弱くらい)でタンジェの港に着いたようなので、みんなに続いて甲板に向かったのだけれど、港からのブリッジが伸びてくる気配もなくどこが出口か分からない。
そこでは係の人が前の方にいた乗客に「戻って」か「待って」といった感じの身振り手振りをしながら何か話していたのだけれど、先頭にいたおばさんが何やら係の人に文句を言っていた。
船を下りた所には係の人が立っていて、一人ひとりパスポートをチェックしていた。 本当はブリッジで下船しないといけないのにおばさんが強引に降りてしまい皆も続いてしまったのかなと思っていたけれど、この港から帰る時もこの車路から乗り込んだので、ルートが違うのではなくタイミングがちょっと早かっただけか、もしくはタイミングも早くはなくて、ちゃんと下に係の人が来たという連絡が入ってから下船していたのかもしれない。 |